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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁

青空文庫

八 和算と和歌

上州の萩原禎助翁のごときは自分等は道楽に数学を修めたので、少しも収入や応用などのことを思ったのではないから、今の人が職業を得るために修学するのとは違うと口癖のようにいっていられた。和算は趣味の問題であったと前にいったが、これを和算家の生活問題と併せ考うるときは、いよいよその見解を確かめられるのである。

八 和算と和歌

和算家は趣味の問題として和算を開拓したもので、実用を離れて芸術的に解したものが多いように前に述べたのであるが、日本では和歌が一般に普及していることと対比して、はなはだ面白いことであると考える。和歌はもと貴族の間に行われているが、武家が勢力を得るに及んでは武家の間にも広まり、徳川時代は平民が勢力を得る時代であって、商人階級が勃興し、侠客も現われ、平民が士族の株を買うて士族にもなれば、平民文学も起こり平民芸術もまた起こったほどで、全く四民平等を理想とした明治大正時代の準備をした時期であるだけあって、和歌のごときも人民の間にも広まってくる。数学のごときもやはり同じ時代の産物であるから士農工商各種の階級の人の間にしきりに学修者を輩出せしめた。