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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁

青空文庫

三 数学発達の機運

まだこれだけで数学を発達させることにはならなかったのである。

暦法には数学が要る。しかし当時の暦術では加減乗除さえ達者にできれば足りたのである。いわんや、やや後れて時々改正を要する暦法において、幾年経てもさらに改正しないのだから、正確に計算を施しても正確なことはできないようになっているから、算法の正確を期することも次第に廃れたのであろう。暦法上にも数学はあまり要らなくなる。日本では暦法が数学を発達せしむべき動力にはなっていない。

三 数学発達の機運

上述のごとく社会の状態が未だ数学の発達を必要とするに至らなかったために、数学は長く勃興することとならなかったのであるが、事情は次第に変わって来る。物々交換の状態から貨幣経済に次第に進み、貸借の関係は複雑になって、頼母子のごときものも発達する。商工業がまた次第に発達し、交通も頻繁となる。

かくして戦国時代の頃にもなると、国家としての秩序は乱れるけれども、社会としては何等衰退した形跡だになく、当時の事情を見るに、群雄割拠して互いに統一を企て、戦術は一変して従来の一騎打ちから隊伍の動作となる。その上に戦乱長く続きて、従来農村に散在した武士は城下に集まることとなり、城下町が形造られるようになる。