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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁

青空文庫

二十五 哲学思想

哲学思想の貧弱なことには物理学的の観念が起こってこないことも、もとより関係している。

二十五 哲学思想

江戸時代には支那の諸種哲学は、もとより伝わっておった。朱子学派は当時の哲学であって、最も広まっているけれども、古学派もあれば陽明学派もあり、儒学の流行は広く全国各地に行き渡って、決して和算の広まったくらいのものではなかった。従って儒学者として傑出した人物も少なくない。そうして各々特色もそなわっておった。けれども大体において支那の学問を尊重し、これを遵奉したのであって、日本独特の哲学体系を組織するほどのものではなかった。日本の国情、民俗に適するように同化改造することはあり、日本の社会を基礎として適当の意見をも出し、実際に役立つような形のものにはなっているけれども、ここに実際社会上の適用に長じていることはうかがわれるが、純哲学上の学説の樹立に至りては支那の諸先哲に一籌を輸したものであった。これが江戸時代の全体を通じてのわが国哲学界の実情である。当時の哲学者は実地運用の上には優れた技能があったけれども、哲学的思索には深刻なものがなかったのである。明治大正の時代になっても、この事情はあまり変わっていないかと思われる。