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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
所載の円理のごときは、その実は門人建部賢弘から始まったらしいのであるが、またその業績として確実なものの中でも行列式の展開に関する交式斜乗の両方法はともに誤っており、適尽諸級法と称する算法について方程式の諸項の極大極小を決定しようというのも同じく誤っているが、しかしこれらのものを取り除いても、その業績の偉大であったことは否定し得べくもない。関孝和のごとき偉人にこの種の誤りがあるのは速断の誤りであること極めて明瞭であり、前にいう和算家一般の弱点をまぬがれ得なかったのである。そうしてその成功した部分は伝来のものを一般化し、理論的に考察し、新しい工夫を加えたことに存する。惜しいかな、病没の二十二、三年前から、おそらく神経の疾患のためであったらしく、その研究の意義あるものは、全く中断したように思われる。その当時の文化の中心は京都にあったが、関孝和が江戸に出て、数学だけは江戸で和算固有の形式に開拓されたのは、異例のことであろう。けれども諸算家の有力なものは、多くは諸大名に抱えられているし、また江戸では北条氏長のごとき、幕府の兵学者が測量や地図作製のことなどに造詣があり、関孝和は四代将軍の弟甲州公徳川綱重に仕え、保護を加えられたらしく、また甲州家には前に算家柴村盛之もあり、相当に数学的気分の横溢した中におったように思わ