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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁

青空文庫

江戸もしくは江戸を中心とした東方と、京阪を中心とした西方とにおいて、社会上の事情がすこぶる同一でないことが、その原因でなければならぬ。長崎が唯一の貿易港で、長崎から外国の知識が伝えられるから、西の方の諸国は自然外国の学問に接触しやすいとはいえ、単にそれだけの理由から来たものではないようである。現今においても美術界の状態を見るに、東京の日本画は主として古典的なるに反し、京都では写実的の傾向がうかがわれるようであるが、これは丸山四条の流を汲んだというのみではなかろうと思われる。

かく考えて見ると、日本の西方は経済的に発達し、そして人心が著しく功利的で、またこせこせしているが、東方は経済の発達は後れ、遊楽的でのんびりしている。現在日本の各地を旅行して見ても分かるが、東北地方では苗代の跡へは稲を作らないで一夏全く遊ばせてあるのが幾らも目につくが、西の方ではこんな実例は見られない。この一事のみでも大体の情勢は察せられる。西方の人は未知の人に対しても社交的であるが、しかし実は軽薄である。東北の方へ行くと容易に人を信じない代わりに後には極めて親密になる。これは交通の発達したのとせぬとの結果であろう。