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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

おれに機密をまもる必要があるか」

「まず味方をあざむけと、孫子か何かにありました」

「生意気をいうな。こら、どこへ行くんだ。於虎、いえ、いわんか」

「では、敵へもれたら、貴公が密報したとするが、よろしいか」

「よろしい」

「それほどまで、責任をとるなら告げます。おさしずのあり次第に、冠の城へかかるべく待機しているところなので」

「なに、冠へ」

「いかにも」

「冠には、先日から杉原七郎左衛門の手勢千五百が、攻め向っている。七城中の堅固、なかなか杉原どのの手にもおえぬと、苦戦が報ぜられておるのだぞ」

「そのような由です」

「そこへ貴様などが、何の足し前にまいるか」

「わかりません」

「わからずに戦場へ出るやつがあるか」

「ひたすら殿のお旨にあることでしょう。虎之助は、殿が行けと仰っしゃれば、地もくぐり天も翔けてみせます」

「これだけの人数をつれてか。わずか二十名ほどしかおらんではないか」

「人数など問うところではありません」

「いちいちおれの鼻面をこするような物云いばかりするやつだ。於虎、貴様は同郷の後輩だから親切に教えてやろうと、俺は好意を示しているのだぞ」

「戦だけは一命仕事、いのちを抛りだして、してみること以外には、ひとのはなしや、ものの書からも楽に学ぶことはできません」