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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 頁

青空文庫

ぎょっとした。――かの女の唇は白くなった。すぐそこに、不浄門の口が見えたからである。

「おそれ入るが、あれへお乗りください」

三右衛門と村右衛門は、そこに並んでいる空駕を指さした。駕の数も、あつらえたように、ちょうど家族の頭かずだけ揃えてある。

しかも、その側にまた、べつな侍が三人、厳かな顔して待っていた。それも西山荘のお抱え鹿野文八、剣持与平、もうひとり樫木万右衛門である。

「やあ、ご苦労でした」

「お待たせ申した」

双方のあいだに、こう会釈があって、三右衛門はふたたび、紋太夫の妻をうながした。

「ともあれ、これにお乗り下されば、委細はあとで分ります。――老公のご命令であります」

「……はい」

老母の顔を見、また、うしろにいる二人の息子を顧みた。

息子たちは、何のためらいもない。母に従いて、

「これに乗って、どこへ行くんだろ」

それだけが不審そうであった。

剣持、鹿野のふたりは、老母を介添えして、駕のうちへ移し入れ、やがてほかの三挺も納まると、

「駕の者。急いで行け」

と、不浄門の陰へいった。

駕は、門の外へ出た。――剣持、鹿野のふたりは先に立ち、ほかの三名は、後に尾いて駈けて行った。