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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

五

二人は高札場の番屋へ寄って、切られた髷を見せて貰いました。浅ましくも竹笊へ、醜い茸のように入れたのが、ざっと二十もあるでしょう。

「不思議なことにこの紛失物ばかりは誰も取りに来ませんよ」

番人はそう言って笑い乍ら、真っ黒な髷をかき廻して見せます。

「尤も、そいつは返して貰っても、焼継ぎも糊付けもきかねえ」

「黙って居ろ、八。少しは切られた者の身にもなって見るが宜い」

「ヘエ」

「ところで、高札場へ曝した髷で、名前を貼り出されたのは。青江備前守様たった一人だね」

「そうですよ、不思議なことに、あとはどれが誰のか名前はわかりません」

高札番屋の番人はこう言うのでした。

「面白いな、八。下っ引を六七人集めて、安宅の弁吉と小人の三次郎と、俵右門とを見張らせてくれ。昼は要らない。夜だけだ。三人は何処へも出ないのに、髷切りがまだ続くようなら、考え直さなきゃならない」

「親分は?」

「俺は青江備前守の身持を調べ抜くよ、――それからお前には外に頼み度いことがある。耳を貸せ」

五

それから五日目の朝、

「わッ、驚いたの驚かねえの」

相変らずの調子で飛込んできたのはガラッ八の八五郎でした。