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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁
「おッ母、今夜泊まって行こうか」
「いけないよ、今おまえは、家なんか嫌いだといったじゃないか」
「お父ッさんは嫌いだけれど、おっ母のそばなら居たい」
「こいつめ」
半五郎もわが子には他愛がなく吹きだして、
「大きな図う体をしやがッて、いつまで、おふくろに甘える気だ。よくそんな事でお屋敷の奉公が勤まっているもんだな。さ、早く帰れ帰れ、お屋敷でも、今夜は何か騒動が起って、騒いでいるところじゃねえか」
「駄目駄目」
と次郎はかぶりを振って、
「もう追ッつかない。逃げたやつは、何処へもぐり込んだのか、影も見つからないんだもの。――この広い武蔵野で二人ばかしの人間を探すのは、二匹の虫を探すようなもんだよ」
「それにしたッて、家へ寄って、道草なんぞしていちゃいけねえ」
「だッて、いつも、おいらが帰るといえば、泊ってゆけ、泊って行けと、おっ母もいうくせに」
「でも、今夜はいけないよ」
「なぜ?」
「お客様が居るんだから」
「え。お客様が泊っているのかい」
「だから、帰れよ」
「いいよ、おいら、くたびれたから、泊まるよ今夜」
女親のひざを枕に、両手をのばしてふんぞり返り、般若はそのまま寝入ってしまう。