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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

「てめえ何か勘違いをしているんじゃねえか。ほかの部屋だろう」

「なに、たしかにこの部屋です」

「とにかく、念のために、二階や、その他の所も隈なく探してみようじゃねえか。おい、だれか、そこに行燈があるな」

「つけますか」

「ウム、行燈に灯を入れてくれ」

「ようがす」

と、一人の黒衣が火打石と附木をとって、カチッ、カチッ、と三つ四つ火花をすりつけました。

そしてぼッと火になった附木を行燈へ移そうとすると、何者でしょうか、突然うしろの押入から首をのばした人影が、

「ふッ!」

と強い息を吹いて、ともりかけた行燈のまたたきを消してしまいましたから、

「おやッ?」

という仰天と同時に、あたりを飛び開いた黒衣の連中が、

「金吾だ! 油断するな――ッ」

と口を合せて叫びました。

途端に、

そこにあった行燈も畳を離れて、暗の天井へ踊りを踊ったかと思いますと、千束の稲吉の肩をかすッて、勝手の流し元へ落ちた上、そのかぼそい骨や火皿を微塵に散らしました。

行燈が飛んだあとには、また突然、そこにいた黒衣のひとりが、わっと、絶鳴をあげてぶッ倒れます。

「斬られた!」

と、たれか言う。

そして――押入の戸の外に、ぬッとのびた一すじの刀光をみとめたかと思うと、ぷーん……と香いもなく色も分らぬしめッぽいものが、屋内のやみにみなぎッて、残る者たちの心胆を寒