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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁
では、呂宋兵衛さま、すこしもはやく、ここ退散のおしたくを……」
「おう、じゃ、昌仙もほかの者も、のちに京都で落ちあうことはたしかにしょうちしたろうな」
「がってんです、きっとまた頭領のところへ駈けあつまります」
一同が、異口同音に答えるのを聞いて、呂宋兵衛は、有り金をあたまわりに分配して、武器、服装、足ごしらえ用意周到の逃げじたくをはじめる。
間もあらせず、とうとうたる金鼓や攻め貝もろとも、法師野の里へひた押しに寄せてきた伊那丸勢、怒濤のごとく、大庄屋狛家のまわりをグルッととりかこんだ。
その時おそし、呂宋兵衛一味の残党、間ごと間ごとの燈火をふき消して、やくそくどおりの自由行動、蜂の巣を突いたように、八方から闇にまぎれて、戸外へ逃げだした。
塀を躍り越そうとする者――木の枝にぶらさがる者、屋根にのぼってすきを見る者、衆を組んで破れかぶれに斬りだす者――いちじにワーッと喊声をあげると、寄手のほうも木霊がえしに、武者声を合わせて、弓組いっせいに弦を切り、白刃組は鎬をけずり、ここかしこにたちおこる修羅の巷。
時に、鉄鋲打った鉢兜に小具足をつけ、背に伝令旗を差し立てた一騎、伊那丸の命をうけて、五陣のあいだをかけめぐりながら、