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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁
五
血をながした以上、大講会の中止はやむをえないことだが、徳川家の武士や石見守の家来たちは、まだ騒然とむれて、そこを去らなかった。
神官はまた、法によって、伊那丸や民部や、龍太郎やすべて、忍剣と道づれである者を六人とも、垢離堂に拉して、謹慎すべきように命じた。これも、掟とあればいなむことができない。――およそ、戦国の世には、神ほど尊敬されたものはなく、神の力、神の法ほど、うごかすことのできないものと、信じられたものはなかった。どんな合戦も、一枚の、熊野権現の誓紙で、矛を収めることができた。神をなかだちにして誓えば、大坂城の濠さえうずめた。
町人ですら、神文血判は、命以上のものだった。
まして、武門の人は、ぜったいに、神に服し、敬神を心としていた。
連累のものとして、伊那丸たちが、垢離堂に監禁されたのを見ると、さすが、がやがやさわいでいた徳川家の侍たちも、いくぶんか気がすんだと見えて、死骸をかたづけ、血汐に砂をまき、大講会につかった屋舎をこわして、夜の明けがたに、ひとり、のこらず、御岳の山からおりてしまった。
不首尾ながら、翌日は、大久保長安はふもとの町から甲府へかえる行列を仕立てた。