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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
すなわち、宮中深きところに、秘勅の壇を構え、昼夜、護摩を焚き、あぶら汗もりんりと、顔も焔にして、誦経、振鈴の精魂こめた修法僧は
小野ノ文観僧正。
法勝寺の円観上人。
および、浄土寺の忠円。
以上の三名と思われる。
また、その必死な祈祷も一様でなく、仏眼金輪五壇ノ法とか、一字五反孔雀経とか、七仏薬師熾盛光、五大虚空蔵、六観音、八字文殊、金剛童子ノ法などという、およそ聞くだに凄まじい咒法ばかりで、読経の声はシワ嗄れ、護摩の煙は御廂を捲き、どんな悪魔怨霊も、世の障碍も除かれるかのような思いを人に抱かしめずにはおかない。――何でこれが、女人のみごもりのためのお祈りであろうか。
察するに、こは、
関東調伏ノ御願。
たるに相違なく、事を、中宮御産にかこつけて、年々咒法の精を凝らし、かたがた、祈祷僧を通じて、叡山そのほかの僧団勢力と、密々の秘契をおすすめあるものと思われる。
幕府としても、今にして、善処なくば、北条氏百余年の治もついに危うからんか。――と、両探題からの報は、今にも、鎌倉の廂に、咒法の火が燃えつきでもしそうな急を文書に叫んでいたのであった。
やがて暁に近かった。