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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁

青空文庫

たえず朝廷を監視する。治安に名をかり、宮闕の内外に、常時の注目を怠らない。

六波羅の使命は、ほとんど、それだったといってよい。

従って、放免(密偵)組織は精密だった。むかし平家が赤直垂衣の童を京中に撒いて、平家の蔭口をきく者とあれば、すぐ拉致したというような――生ぬるいものではないのだ。

たとえば、文談会なども、とうにここの耳へは入っている。

――が、容易に手入れが出来ぬもどかしさはあった。何しろ対象が朝廷である。かつは一味の者も、権中納言、参議、蔵人など、すべて堂上人ばかりなのだ。

わけて僧侶は、厄介者だ。叡山系の法師、南都の僧侶。いずれも下手には触れられない。

かねてからの疑惑、中宮御産祈祷の怪なども、北条氏調伏が、その目的であると共に、朝廷の触手が徐々に、それらの僧綱を抱き込みにかかっているものとは明白に分っていた。が、ここにも、山門という障害がある。

かつて、遠い世頃、後白河法皇すらも、

“――加茂川の水と、山門の法師ばかりは”

と手を焼いたことそのままの状態が、現在もつづいていた。

対朝廷の難しさもだが、その僧団扱いにも、六波羅ノ庁は、つねに周到な細心と、惧れをもって、当らねばならなかった。