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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
すっかり乗客と仲よくなったつもりの彼らは、あたりの人にまでやたらに酒をすすめたりなどしながら、ここは大河の中とばかり、言いたい三昧の舌を振るい出した。
「ええおい。世間の奴らは、よく俺たちを鼻つまみにしやがるが、いったい、俺たちを人非人みたいにいう奴らの方は、どうなんだと訊きてえんだ」
そこらから始まって。
「上役人は、賄賂の取り放題だし、坊主は強訴と我欲のほかはねえ金襴の化け物だ。地頭は年貢いじめにもすぐ太刀の反りを見せ、妾囲いと田楽踊りをいいことにしていやアがる。去年の元亨元年の夏は、近年の大飢饉ともいわれたのに、いったい公卿の行き仆れや武家の飢死が一人でもあったかい。……ええおい、そこで乳呑みを抱いている女衆よ。おめえの乳房なども、いくら絞ったッて、赤子の口には一と雫も垂れはしめえが」
口吻の裏には、いくぶん、さっきの相手だった公卿主従への面当てもあるような調子だった。
さすが、これは耳障りであったらしい。鷹野姿の公卿は、せっかくの読書を止め、それをふところに仕舞うと、自分の方から無頼の仲間へ呼びかけた。
「これこれ、そこな若雑ども、おもしろいことを申したな」