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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁

青空文庫

すべて一色村の党人だ。

ここで、いささか説明を加えるなら、その一色村は、かつての日、高氏が忍び上洛の途に供をした傅役の若党、かの一色右馬介の出生地なのである。

彼は、勘当の汚名を負い、いまは主の高氏と離れて、郷里にもいないが、しかし、彼の父一色刑部は健在であり、近郷の吉良、今川などの同族とならんで、古くから隠然たる半農半武士的な根づよい地盤を三河一色ノ郷にかためている。

さらにまた、宗家高氏の隠し子を――公でない里子として――一色刑部が預っていた。

不知哉丸、そのわが子へ。

会うてもよい、尋ねて行け、と高氏からゆるされて、藤夜叉が村へ入ったのは昨年の秋ごろだった。それから、ざっと一年目である。ゆくりなく、足利家とは縁も深い母子法師の危機を途上で知って、その急を、彼女が一色党の人々へ報らせたなども、輪廻、眼に見えぬ何かに人は皆うごかされていると説く仏者の言もあながちわらうべきではない。

ともあれ今、一色党の面々は、小屋を中心として、八方へ手分けにかかった。谷間へ降りて行った者が、やがて、気を失っていた御厨ノ伝次を見出した。ほどなく伝次は人々の手に扶けられて上がって来た。