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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁
――この図式の中に陥った六波羅勢が、どこを破って、よく逃げ得られるか、それだけが、あとの命題でしかない。
この命題は、やがて、大江の渡辺橋で解決された。
「返せ、返せ」
われがちに、退き鉦を乱打しながら、隅田、高橋以下何千人、大江の岸までなだれ退がったが、さらに「大河を背後にしては」と、渡辺橋を北へ、争って渡りかけるやいな、とつぜん起った惨事だった。
真ン中の橋板が、所々、剥がされていたのである。
ころぶ。抛り出される。その上へ、後から後から積み重なる。溢れて河の中へ落ちる。
しかも、楠木勢の全力は、その機に、後ろから拍車をかけて来たのだった。
世にいう「渡辺橋の合戦」では、六波羅勢がよほど派手な敗け方をしたことは疑いない。
けれど、いかに正成の“断橋ノ計”が、よくその功を奏したとしても、
然れば、五千余騎の兵共、残り少なに討ちなされて、みな這々、京へさしてぞ、逃げ返りける。〔太平記〕
という程ではなかったろう。
ただこの大敗の責めで、隅田、高橋の両将が、六波羅を出仕止めとなったなどは信じられる。ほぼそれほどに損害も大であったには違いない。
わたなべの