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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
当然、柳営を出たときの、三分ノ一以下に減っている。
だが、武蔵ノ左近時名が、
「まだ、千ほどは、君のおそばにおりまする」
と答えたのは、高時の心を少しでも、気丈にさせようとする思いやりにほかならなかった。それを高時も、覚ってはいたろうが、
「むむ!」と、満足そうに。そして、その武蔵ノ時名へ、
「時名。寺中には、蓄えの酒もあろう。ありったけの酒甕をここへ運び出させろ」
と、いいつけた。
歴代の菩提寺である。客院用の酒壺はもちろん庫裡に充ちていよう。高時もかつての春には、ここの山門で小袖幕を張らせ、舶載の毛氈をのべて、花見の宴に遊び暮らしたこともある。――そんな日の幻影を、ふといま、思い出したことでもあるのか。
やがて、兵たちが、数十箇の酒がめをそれへ運んできて並べると、
「これは壮観だ。さすがは東勝寺の庫裡」
と、唇をゆがめて笑った。そしてみずから場所をえらんで、地に楯を敷かせ、
「みんなここへ寄れ。鎌倉の終りもほぼ見とどけた。このうえは、高時の身の処置いたす。高時がさいごを、皆して、見とどけておくりゃれ」
と、言って胡坐した。
一族の面々は、かえって首をたれてしまった。