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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

「お辺はどちらへ」

「されば二条の千種どのまで」

「ほ、ほ」

「じつはちと、世相、憂うべきものを感じまして、後刻には、殿ノ法印どのの許へも伺いたいとぞんじおりまする」

「ならば、のちほどまた、ご一しょになるやも知れんな。――参内の帰途、愚衲も六角の法印邸へ立ちよる約束をしておるで」

「それは倖せです。まずどうぞ、お鞍の上へ」

「ゆるさっしゃい」

文観は、馬上に返ると、高い所からの一顧の愛想を道誉に残して行ってしまった。

その姿は、一団の騎馬にくるまれ、徒歩の供僧やら武士やら百人以上な大列だった。それが朱雀大路もせましと辺りを払ってゆくさまは、妖しいばかりな威風に見える。

「いつもこうなのか」

道誉は左右の臣にきいていた。

「――世間はおれを婆娑羅というが、おれもおよばぬ婆娑羅僧正ではないか」

「何せ、たいした上人でございまする。お住居の坊には武器財宝など山と蓄えられておるそうで。……時には、天蓋輿に乗り、供には、数百騎をつれての参内の日もありますとか」

「ふふン。喧嘩なら喧嘩も来いという構えか。変った上人が出てきたものだな。つまり陽気のせいだろ、これも乱世の」

「さようかもしれません。