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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

さあ何でも始めろ」

と、囃すように言った。

しかし女たちは、一こう弾んで来なかった。楮幣のことは聞いてるが、費えないことも知っていた。またそれを拒んで捕まった者も身ぢかに見ていて、手をふれるのもふるふるなくらいに思っているらしい。

「はははは。おまえたちは、まだよく分っておらんのだな。有難味も真の値打も……。よろしい、こん夜ここでの楮幣は、明日、わしの佐女牛の屋敷へ持参せい。――わが家の倉にある伽羅、油、宋の薬、白粉、唐織、珠、釵子、欲しい物と交易してやる。楮幣と引き替えで売ってやろう」

遊女たちはやや色めいた。

なにも自分たちは、資本を出すわけでなし、まちがっても、元ッ子ですむというもの。まして、道誉さまがああまでいうならばと、がぜん打算になったらしい。

「じゃあ、ほんとにあした、おやしきへ伺いますわよ」

「おお来い来い」

「そして何でも売ってくださる?」

「天下の通宝だ、何でも売る」

「ついでに、おやしきも買っちまおうか」

「それだけの楮幣を持ってまいればな」

「どうれ、そこに、どれほどあるの?」

「多くはない。祝儀として、賭けに勝った者にだけ取らせる。さ、始めないか商売を」