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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

町毎に立つ篝り屋は

荒涼五間、板三枚

幕引き廻す役所ども

数さへ知れず満ち満てど

諸人の敷地定まらず

と、半作の家や、牛馬糞の空地だらけな周囲を、これが庶民暮らしの今日だと嘆き、また、鎌倉の世の頃には、まだ多少は礼儀作法の品のあった武士も、さてさて、ふしだらになったものだと慨嘆し、終りに、

花山桃林さびれつつ

牛馬は華洛に遍満し

非職の兵仗流行りにて

天下一統珍しや

御世に生まれて様々の

事を見聞くぞ不思議なれ

京わらんべの口遊み

十分の一を漏らすなり

で、結んでいる。

“二条河原落書”は、文辞からみても、そう学識がある者の業ではない。けれど、七五調なので、覚えよく、謡いやすいので、すぐ人口に膾炙し、

このごろ都に流行るもの

夜討ち 強盗 偽綸旨

召人 早馬 虚騒動――

と、そのまま流行歌となって、辻の子供らまでに、この夏、唄い囃されていた。

童謡にも民の声があり、諷言もまま天の声をなす、とか。――これが火もない煙でなかったのは、思いあわされぬことでもない。

この“二条河原落書”のあらわれるつい二た月ほどまえだった。――的確にいえば、六月七日の未明のこと。――洛内の市民は、不気味な、しかし静かな、暁闇のうちに、