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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
また。東山は黒谷附近から先、これも同様、木戸かぎりとなっているという聞え。
さらには高台寺の高嶺から望むと、六波羅の南北、車大路、大和口までも、たいへんな馬数がみえ、さだかに、その人員は量りえないが、その物々しさから察して、ゆうに数千騎が鳴りをひそめているのではなかろうか、とある。
「そのうえに、折も折でござったよ」
と、法印は、伊吹の一訴人が持って訴え出た六波羅の密牒を、宮のお手から借りてここで読みあげた。そして、
「なんと、これは尊氏の反撃の準備、明瞭ではおざるまいか。――思うに、今夏六月七日には、あやうく、宮将軍の御成敗をうけるところであったゆえ、このたびは、逆襲せに這奴より不意を突いてくるつもりとみえる。各※(二の字点、1-2-22)、ご油断あるなかれ」
と、大声でむすんだ。
しかし、たれもが一瞬、そのおもてを冬の夜らしく研いだだけで、しいんとしていた。きたるべきものが来たという悽愴な気以外、何もない。
「中将」
と、宮は千種忠顕をさして。
「いつなと、六、七千の兵はたちどころに揃うだろうな」
「はッ」
「新田義貞はじめ、武田、塩冶、結城、宇都宮、名和そのほか、これにおる者の手兵だけでも……。