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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

「昼、法師の覚一をつれて、東宮の御内へまいり、東宮のお遊び相手をいたしながら、ひそかには、こよいの御処断の吉か凶かを、心待ちにしているものとおもわれまする」

「もし、こよいを出でず、朝廷が護良の処置を明らかに執らなんだら、六波羅中をあげて、彼は、彼独自の行動をおこさんと言ったのだな」

「いいえ、尊氏はむしろその宥め役でございますそうな。……何となれば彼の一族、諸国の輩は、みな宮の挑戦を怒って、いつとなく六波羅に蝟集し、必定、禁裡のお方も宮の同腹ぞと申し合せ、不穏の気を研いでおりますため、尊氏自身、かくては一大事と、身を皇居の質ともなす覚悟で、押して、今日の参内をしたものの由でございまする」

「では、父貞氏の法要と触れていたのは」

「いたずらに、洛中の民を騒がせまいと、彼の心をくだいた一計であったと申しておりまする。さまでな尊氏の心根と訴えには、わらわもこれを捨ておかれず、ついお上の叡慮にまで入れたわけでございました。わらわも辛うございまする。どうぞお汲みとり賜わりませ」

みかどは、やがてこの夜、一殿へ召しおかれていた諸公卿の議席へ臨んで行かれた。もちろんこれからの宮の御処分、対足利との交渉、また朝廷の長期方針など、おそらく夜を徹することであろう。