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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

仲時は思うところを部下一同に告げて、責めはすべて自分にあると、六波羅いらいの事ごとな手ちがいを詫びた。また皇室の方々へも申しわけないと深く首を垂れていった。

将士はみな泣いた。粛と泣いた。けれどたれも彼を恨みには思わなかった。みな肱をまげて顔をおおった。そしてはっとその顔をまた何かに醒ました……。

「……お。北殿」

堂をめぐって坐っているすべての者が、こううつろになって呼んだとき、越後守北条仲時は、もう答えのない人となっていた。みずからの短刀でわき腹をえぐって、がくと、肩を落していたのである。

「……お示しなされた」

一とき、たれのおもても悽愴に変ったが、先に行く人をしずかにただ見まもり合う眸であった。仲時からさいごの言を聞いたときに、ここの全部の者もまた仲時とおなじ覚悟になっていた。

みなそれほどに困憊しきって、死以外になにも考えられなくなっていた。顧慮もなく、むしろ、やすらかなものへ抱かれたいような焦躁で、一人が叫ぶと、いッせいに、死のう、死のう、と死の谺を交わし合っていたのであった。

「お供つかまつる。北殿」

「野伏などの手に、かからんよりは」

「生き恥かくなどは、鎌倉武士の名おれ」