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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《胡堂百話(こどうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,386 字 · 248 頁
平次の心
が、デンとばかり建っていた。
平次の心
銭形平次は犯人をつかまえない。約半数は、知って見逃してしまうのだ。
「いいか、おれの眼の、とどかぬところへ、行ってしまうんだぞ」
と、わざと縄をかけないで、
「なあに、笹野の旦那には、おれが叱られればそれで済む」
笹野新三郎は、平次の直属上官の、八丁堀の与力である。笹野も、それを知っているから、口で叱って、心でほめて、
「平次。また、しくじったな」
と、すがすがしい顔をする。しまいには、「しくじり平次」の異名までつくが、あの思想は、どこから出たのかと、きかれることが、しばしばある。
私は、それに答える前に、花井卓蔵博士のことを書いてみたい。衆議院副議長、法学博士というよりも、刑事事件の花形弁護士として、野口男三郎をはじめ、明治、大正のセンセーショナルな事件には、常に、暖かい弁護で知られた花井さんである。
花井さんと話したのは、大抵、神田錦町の法律事務所であったが、本箱と、書画がきちんと並んで、事務所というより、ホテルのサロンという味だ。
「法律は、西洋から来たものだと、思いますか」
錆びのある落ちついた口調で、花井さんはそんな風に反問した。