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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《胡堂百話(こどうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,386 字 · 248 頁

青空文庫

「あのう、若先生の方でございますか」

逍遙先生が老先生で、士行氏が若先生というわけだ。当時の私の年齢からみて、士行氏の客と見たのは、当然だったかも知れぬ。

「いや、老先生に、です」

そのころ、すでに老先生は、短い髪も、長いヒゲも、白いのの方が多かった。

「近ごろの翻訳は、滅茶滅茶ですなあ」

錆びのある声でズバリといって、

「日本ほど、翻訳の多い国はありません。大抵のものは、原語を知らなくても、読める。その代り、うっかり信用すると、とんだことになる。間違いの方が、間違わない部分より多いのもありますからな」

と、声をあげて笑った。

大学在学中から、シェークスピアと取り組み、ついに一生を、翻訳と、芝居とに打ちこんだ博士にしてみれば、いい加減な翻訳の横行が、眼にあまるものがあったのであろう。

それから、芝居に関しては、

「いわゆる、新派は、過渡的なものでしょうな。その点、歌舞伎は見込みがある。あれを純な形で保存すれば、能と同じに、千年ののちまで残るだろうが、生半可ないじり方をすると、必ず亡んでしまいますね」

私も、若い頃は芝居に凝って、新聞社へはいる時も「劇評も書ける」