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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《胡堂百話(こどうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,386 字 · 248 頁
上司小剣(二)
都会では、自分一人が住んでいるのでない。犬を飼うには、飼うためのエチケットがあり、蓄音機を鳴らすには、そのための儀礼がある。隣へきかせてやる了見で、窓をあけっ放す度胸は、私にはない。
上司小剣(二)
芸術院会員としての小説家上司小剣は、別に論じる人があるだろう。『神巫殺し』から、三部作『東京』を経て『石合戦』『伴林光平』に至るまでの多彩な業績は、必ずや再び研究される時が来ると思う。内省的で、孤高で、そしていくらか反逆的で、同じ時代の自然派のジメジメした作品の中で、ひとり、背骨がシャンとしていた。
戦争が長びきはじめたころ、
「日本もいよいよ負けるんだ。われわれはみんな裸にされるだろう」
などと、ズケズケいっていた。よくも、あれで、特高にも、憲兵隊にもつかまらなかったものだと思う。
私が、軽井沢へ逃げ出すと決めた時は、ひどく心細がって、わざわざ高井戸まで、やってきた。
「キミに逢うのも、これが最後かも知れないね」
私の顔を見つめて、中学生みたいなことをいっているうちに、空襲警報が出て、井の頭線の電車がとまった。薄暗くなった秋空の下を、リュック姿で、何べんも振り返りながら国電荻窪駅の方へ歩いて行った。