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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

「…………」

平次は黙って考え込んでおります。

「親分、見附へ行ってみましょう。気が付いてずらかっちゃ一大事」

「騒ぐな八、まだ縛るには早い。去年の暮から諸方で盗った金はどう積っても千両以上だ。ここにあるのは百二十両、あとの金が出ねえうちは、滅多に縄を打つわけには行かねえ」

「だって親分」

「まア、いい、俺に任せておけ、――この事は人に言うな」

平次は黄八丈の財布に入った百二十両を元の抽斗の裏に入れると、泥棒猫のように、そっと大谷道軒の浪宅を滑り出たのです。

それから二日目。

「ところで、八」

「ヘエ――」

平次のところへ行った八五郎は、妙に擽ったい笑顔に迎えられました。

「あの娘はどうだえ」

「ヘエ――」

「まだモノにならないのか」

「ありゃ鑑定違いですよ、親分の前だが」

八五郎は照臭く頸筋を叩きます。

「何が違ったんだ」

「あのお琴という娘はとんだ喰わせものですよ」

「はてね?」

「第一、中江川平太夫の娘なんかじゃありゃしません」

「ヘエ――」

「二三日は娘らしくしていましたが、近頃じゃ――」

ガラッ八は頸を縮めて赤い舌を出すのです。

「孫かい、娘でなきゃ――」

と平次。

「親分もどうかしていますぜ」