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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

四

「お前も、そんなに道具は好きなのか」

骨董に溺れる人の夢中な心持は、平次にもよくは呑込めません。

「それはもう、親分さん。この道に入ると、結構なお道具は、我が子のように可愛くなります。一つ一つに生命があるようで」

「そう言ったものかな、――ところで、鶯を飼っているようだが、あれは誰の好みかな」

平次は向うの縁側から聞えて来る飼鶯の声に耳を聳てました。

「私でございます。良い声でございましょう。飼ってやると、あれもとんだ可愛いもので、――ヘエ」

「たいそうまた気の多いことだな」

これで調べは全部でした。あとは八五郎と土地の下っ引に言いつけて、金之助、銀次、お辰の奉公人を始め家族全部の身持、わけても奉公人たちの親元や前身を調べさせることにし、その日の夕刻神田へ引上げたのです。

四

翌る日、ガラッ八の八五郎は、恐ろしい勢いで飛込んで来ました。

「サア、大変ッ、親分」

「待った、八、その大変が飛込む前に皿小鉢を片付けるよ。今日は来そうだと思ったが、それにしても早かったぜ、八」

「だって、井筒屋の二番目息子の房松が縛られましたぜ」

「誰だ、そんなあわてた事をしたのは?」

「土地の御用聞――五助という野郎で」