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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

四

きかないので、文次郎はひどく吾妻屋を怨み、「折があったら、あの親仁を叩き殺す」とまで放言していたというのです。

二十八になって、背負い呉服屋に身を落した上、お喜多との仲まで割かれた文次郎は、血の気の多い男で、随分それくらいのことはやり兼ねないように、町内の人達からも思われているのでした。

四

翌る日、石原町へ行ったガラッ八は、思いも寄らぬ事件の展開を聴かされました。

「八五郎親分、困ったことになったぜ」

新吉は言うのでした。

「何がどうしたんだ」

「三輪の万七親分が乗り出して、用心棒の力松を縛って行ったよ」

「ヘエ――、証拠が挙がったのかい」

「証拠のないのが証拠だというんだ。二階の南側の縁側からは入れず、東窓にはでっかい蜘蛛の巣があるから、曲者は梯子を登って行ったに違いない。梯子の下には力松が夜っぴてとぐろを巻いているとすると、下手人は力松の外にないというんだ」

新吉もこの理論には争いようがなかったのです。

「それだけのことか」

とガラッ八。

「だから変じゃないか」

「力松は何が望みで主人を殺したんだ。年に十二両という大金を下さる主人だぜ」

「俺もそう言ったが、万七親分は、力松の野郎は纏まった金でも欲しかったんだろうというんだ。