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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

五

「ヘエー」

ガラッ八には何が何やら判りませんが、こうなると、銭形平次に引摺られて動く外はありません。

五

平次と八五郎が川崎の万年屋に着いたのは、その日の昼少し過ぎ、越前屋の手代二三人は、お茶を呑んだり、外を覗いたり、落着かぬ様子で支配人の着くのを待っております。

「おや銭形の親分さん?」

けげんな顔をする手代達に迎えられて、

「大師様の帰り、ちょいと覗いてみただけさ」

平次は事もなげですが、大師様をだしに使うのは擽ったいのか、八五郎はテレ隠しにポリポリ小鬢を掻いております。

そのうちに、

「来ましたよ。あれ、向うから支配人さんが」

物見に出ていた小僧が飛んで来ました。それッと店先へ出ると、

「おやおや、わざわざ多勢でここまで来て下すったのか、それは御苦労様で」

越前屋の支配人吉三郎は、長途の旅に困憊し尽した姿ながら、埃だらけの顔にも豊かな微笑を浮べて、皆んなの前に近づくのでした。

「ゆうべの泊りはどこでしたえ」

不意に声を掛けたのは八五郎です。

「戸塚の米田屋で――」

「その前の晩は?」

「大磯の虎屋で――あ、お前さんは、どなただえ」

吉三郎はまじまじと八五郎の顔を見るのでした。