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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

「ヘエ――、それじゃ行って来ますよ、親分」

「待て待て八、変なものが落ちてるじゃないか、おや」

平次は庭の隅から何やら拾い上げました。

「財布じゃありませんか、親分」

「黄八丈の財布だ。中味はしっかり入っている。この中に三百両入っていると話が面白くなるぜ、八」

平次は財布を持って、部屋へ引返しました。行灯の下には手負のお嘉代が、雇婆さんに看護られて、ウトウトしている様子です。

「お神さん、盗られた財布はこれですかえ」

八五郎は声を張りあげます。

「おや?」

お嘉代は半身を起しかけて、傷の痛みにそのまま床の中に埋もれました。苦痛と好奇と驚愕と、いろいろの感情がその眼の中に動きます。

「それですよ。盗られた財布はそれに相違ありません。どこから出て来ました、親分」

「庭の隅に落ちていたんで、――中には小判で確かに三百両」

平次は馴れない手付きで、一枚一枚小判を数えております。山吹色が行灯の灯に反映して、時ならぬ華やかな空気を醸しますが、事情は息づまるほど緊張して、ガラッ八とお嘉代の眼は、その数を読む手に吸いつきます。

「三百枚――確かに三百両」

平次は最後の一枚をチーンと鳴らします。