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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁
泥棒伯円や小団次がはやらかしたわけでもあるまいが、悪徒には義賊と称せらるる一種のカテゴリーに編入されるものが交っていた。鼠小僧もそれであり、木鼠小僧のように、人名辞書にまで何ぺージか費やされているものもある。日本左衛門もそれであり、雲切仁左衛門もそれである。悪事はすれど非道はせずというのをモットーに、江戸中を荒らしまわった梁上の君子達は、ずいぶん厄介なものであったに相違ないが、われわれ貧乏人にとっては、いささか溜飲の下がるしろものであったにちがいない。幕末に一種義賊謳歌時代をうんだ原因でもある。
昔といえども、徹底的な悪人はないではない。不幸にして江戸時代には、そんな化け物はあまり伝わらず、明治以後、大正、昭和の悪人は、芝居に出て来る敵役にその例を見るだけである。
汚職というのは昔からあったにちがいなく、田沼父子のごときは、その代表的なものとされている。しかし汚職で建てた蔵は、やがてつぶれるにきまっており、少なくとも終を完うした例はない。昔はずいぶん、わいろをむさぼった役人も少なくなかったが、その反面には一紙半銭も私にしないといった、恐るべき頑固一徹な人達も少なくなかったのである。