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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁
「あの、豆腐を買いに出ました」
「その豆腐はどこにある」
「お勝手に置いてあります」
「よしよし持って来なくたっていい。――ところで、路地を入ったとき誰にも逢わなかったのか」
「え」
「家に入ったとき、一番先に眼についたのは何だ」
「半さんと助さんか、睨み合っていました。そして、気が付くとお師匠さんが――」
「泣かなくったっていい」
シクシクと手放しで泣き出すのを、平次は少し持て余し気味です。
「あの――」
「なんだ」
「殺したのは誰でしょう」
「そいつはわからないが、――お前には良い師匠だったのか」
「…………」
お秋は黙り込んでしまいます。
「下手人を挙げるためには、いろいろ訊きたいことがある、正直に言ってくれるか」
「え」
「第一番に、師匠――賀奈女をうんと怨んでいたのは誰だ」
「伊勢屋さんですよ。往来で私の顔を見ると、師匠はまだ生きているか、――なんて言うんですもの」
「他には」
「さア」
「ここへ一番よく来たのは誰だ」
「半次さんと助七さんですよ。どんな日も一度ずつは来ました。多い時は二度も三度も――」
「たいそう精が出るんだな」
平次はガラッ八を振り返ります。これもどうかしたら日参した口かもわかりません。