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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

「お神楽の兄哥、そいつはまだ早い」

平次はそれを押止めました。

「えッ、何が早いんだ。銭形の親分」

「血はみんな袷の背後に付いているぜ。後ろ向きになって人を突き殺す奴はないよ。それに、お杉は自分の着物に血の付いてることも知らずにいた様子だ。――この着物はどこに置いてあったんだ」

平次はお杉に訊きました。

「洗濯物と一緒に、梯子段の下に突っ込んでおきました」

お杉は平次の助け船に、ようやく平静を取戻しました。

「だがネ、銭形の親分。この女は伯父を怨んでいたぜ。――伯父の総兵衛は、自分より年の若いお道を可愛がって、跡取りにしそうだったんだ。いま殺さなきゃ――」

「そんな、親分。私はそんな事を考えたこともありませんよ」

お杉はあわてて清吉を遮りましたが、自分の身にふりかかる恐ろしい疑いに圧倒されて、ろくに口もきけない様子です。

「それより面白いことがあるんだ、八。荷物の調べが一と通り済んだら、その小僧に訊いてくれ。五十両という大金をどこから出した――と」

「え、五十両を仏様の前においたのは、この小僧ですか」

八五郎はえんぴを伸ばして、逃げ腰の庄吉を押えました。

「小判の包紙に、豆捻じの粉が付いているんだ。