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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁
これほど確かな証拠である代り、これほど不確かな証拠もありません。
「お気の毒だがお嬢さん、それは証拠になりませんよ」
「私が嘘を申すとでも――」
「とんでもない、お嬢さんを嘘つきにしていいものですか、――あっしはそれを本当にしても、上お役人には通用しません」
親は子のために隠し、子は親のために隠す――といった唐土の聖人の言葉を、平次は小耳に挟んでいたのです。
「どうしたらいいでしょう、親分」
お加奈は詮方もない姿でした。
「本当の山脇玄内を捜し出して突き出すことですよ、外に工夫はありません」
「…………」
お加奈は悲しそうでした。が、それ以上何にも言うことがなかったらしく、平次が突っ込んだ問まで外らして、そこそこに帰ってしまいました。
その後ろ姿を見送って、ソッと八五郎に眼くばせすると、ガラッ八は少しあわて気味に、お加奈の後を追って、夕暮近い街に飛出します。
それから一刻ばかり。
「ひどい目に逢わされたぜ、親分」
ガラッ八は忿々として帰って来ました。
「娘へちょっかいを出して、往来へ抛り出されたんじゃあるまいな」
「冗談じゃありませんよ、後をつける度ごとにやられた日にゃ、十手捕縄の手前も面目ねえ」