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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

八

「第一、私にはもう、百両という小判がありませんよ」

貫兵衛はそう言って淋しく笑うのです。三吉の死体の腹巻にあった金の事でしょう。

八

「親分、驚いたね」

ガラッ八は、黙々として横山町から帰る平次に声を掛けました。磯屋貫兵衛を町役人に預けて、さてこれからどうしようもなく、家路を辿っていたのです。

「俺も驚いたよ。七平を殺したのは、お蔦や貫兵衛でない事は確かだ」

「三吉に言い付けて、船を沈めさせた奴じゃありませんか」

「えらいッ、八、そこへなんだって気が付かなったんだ。あの晩、赤酒を呑む振りをして呑まなかった奴と、泳ぎのうまい奴を調べて来い、――こんどは間違いないぞ」

「そんな事ならわけはありませんや」

「どこへ行って聞くつもりだ」

「船宿を軒並叩き起して――」

「それもいいが、卯八とお蔦に聞くのが早いぜ」

「心得た」

ガラッ八は闇の中に飛びます。翌る朝ガラッ八が、その報告を持って来たのは、まだ薄暗いうちでした。

「親分、驚いたのなんの」

「どうした、八」

「あの中で泳げないのは、貫兵衛と爺やの卯八だけですよ」

「何?」

「死んだ七平なんぞと来た日にゃ、河童みたいなもので」

「菊次郎と清五郎は?」