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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

四

お舟は何のこだわりもありません。

四

平次とガラッ八は、その足をすぐ勘三郎の家へ伸しました。

「病気だっていうじゃないか、どんな具合だい」

浅まな家、木戸から入って声を掛けると、

「あっ、銭形の親分」

勘三郎はあわてて床の上に起き上がります。

「起きなくたっていいよ、そのままで構わない」

「ヘエ――」

「お前はとんだ仕合せだったよ、ピンピンしていてみねえ、今頃は無事じゃ済まないよ」

「お曾与の阿魔が殺されたんですってね、好い気味みたいなもので」

「なんて口のききようだ」

「ヘエ――」

平次にたしなめられて、勘三郎は頭をかきました。

三日寝ていたという窶れはありますが、二十五六の小意気な男で、伊丹屋の粉細工のような若旦那よりは、江戸の町娘には好かれそうです。

「腹を悪くしたそうじゃないか」

「なアに、大した事はありませんよ。両国でさんざん泳いだ上、西瓜を鱈腹やったんで」

「それじゃ腹をこわさねえ方が不思議だ」

「相すみません」

「俺へ詫びなくたっていい。ところで、お曾与殺しに、何か心当りはあるかい」

「大ありですよ、誰もあの阿魔を締め手がなきゃ、あっしがやるつもりだったんで――」