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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

「山脇玄内は大物はきっと二度に盗む。今晩を過したら、この千両も手に戻らないところだったかも知れない」

平次がそう言うのは無理のないことでした。

「まずまず」

とお祝いの用意をするのを、平次は振りもぎって帰って来ました。こんな事で人に褒められたくはなかったのです。――泥棒の山脇玄内から、謎の手紙を受取ったと言ったところで、誰がいったい本当にするものでしょう。

その翌る日ガラッ八は、鼻高々と平次の家へやって来ました。

「親分、解りましたよ」

「何が?」

「何が――は情けないな。成瀬九十郎、又の名山脇玄内と、その娘お加奈の住んでいる家ですよ」

「どこだ」

「あの空家のツイ裏」

「そんな事だろうと思ったよ」

「相変らず貧乏臭く暮しているから、あれが大泥棒とは、誰だって気が付くめえ」

「それを気が付いたんだから、八五郎は大したものさ」

「からかっちゃいけません、――今晩手入れをして、一ぺんに縛ろうと思うがどんなものでしょう」

八五郎はもう、山脇玄内を生簀の魚のように考えている様子です。

「それもよかろうが、止した方が賢いかも知れないぜ、八」

「なぜ、親分?」

八五郎の手柄などを妬みそうもない平次が、この手入れにはっきり反対するのは不思議なことでした。