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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

聟から岡っ引に戻ったガラッ八は、品吉を縁側に引据えて威猛高になります。

「待て待て、もう少し考えてからにしよう。家に居る者が怪しいとなると、手代、下女、下男、それからお前も俺も、聟の錦太郎も怪しくなる、――こいつはそんな浅はかな企みじゃあるめえ。その番頭は下っ引に見張らせておけ、――ところで曲者は錦太郎を殺すつもりはなかったかも知れないが、――お福は確かに殺すつもりだった、――お福を殺して一体誰が儲かるんだ」

「…………」

平次が変なことを言い出すのを、ガラッ八は縁側から聴いておりました。

「お福が死んで、一番損をするのは誰だ」

「父親と聟の錦太郎じゃありませんか」

ガラッ八の応えは素直で簡明です。

「ところで今は何刻だろう」

平次はまた変な事を訊きます。

「亥刻半(十一時)ですよ、親分」

「あと半刻で明日か」

「…………」

「明日は戌で仏滅で、やぶるという日だ。祝言には一番嫌われる」

「それがどうしたんで、親分」

「明日祝言がいけないとなると、今日のうちでなければなるまい」

「誰が祝言をするんで? 親分」

「多賀屋の娘お福と、仲屋の倅錦太郎だ」

「えッ」

平次の言葉の意外さに、驚いたのは、隣の部屋で外科に手当をして貰っている錦太郎自身でした。