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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

駒次郎はいかにも口惜しそうです。

「なるほど、そいつは気の毒だ」

「番頭や親類が集まって、――こんな噂がパッと立って、万一呼売の瓦版にでも刷られたら、伊丹屋の暖簾に疵が付く、それよりは金で済むことなら、十三屋へ金をやって、内々にするがいいと、こう言います」

「無法な人達だな」

「でも私は口惜しくて口惜しくてたまりません。嫁を貰うのをいちいち怨まれちゃ、やりきれないじゃありませんか。この先もあることですから、どうぞ下手人をあげて、処刑に上げて下さい、親分」

「お前さん、怨まれる心当りがあると言うのかえ」

「…………」

駒次郎は黙ってしまいました。が、この様子では、金があるに任せて、とんだ罪を作っているのかもわかりません。

「八、一と足先に行ってみてくれ。怨まれる筋があるそうだから、思いの外手軽に下手人の当りが付くかも知れない」

「ヘエ――」

八五郎のガラッ八は、伊丹屋の駒次郎を促して、一と足先に出て行きました。後には平次、悠々と朝飯にして、お静と無駄を言いながら、陽の長けるのを待っております。簡単に埒があきそうな事件を、なるべくガラッ八に任せて、初手柄をさせようという心持でしょう。