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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

お袖はまた止めました。

「ところで、昨夜はどうしていたんだ」

平次は話題を変えました。

「へッ、あんまり景気の良い話じゃありませんが、雪隠へお百度ですよ」

「今日は」

「漸く落着いてこの通り、――温石を三つ下の腹へ当てていますよ、こいつは楽じゃありませんぜ」

そういえば、少し逆上しているようです。

「お曾与を絞めたのは、お前の三尺だっていうじゃないか」

「呆れてしまいましたよ、親分、俺の三尺なんか盗みやがって手数のかかる野郎じゃありませんか」

「その三尺をどこで盗まれたんだ」

「町内の湯屋で――一と月も前ですよ。昼湯につかって、良い心持に呶鳴っていると、どこの野郎か知らないが、あっしの三尺を締めて行っちまいましたよ」

「代りはなかったのか」

「ヘエ」

「帯を締めずに来たのかな」

「あっしの白木の三尺を、博多の帯とでも間違えたんでしょう」

「その時一緒に風呂へ入っていたのは誰だい」

「二三人いたようですが、しばらく柘榴口から出ずに、夢中で喉を聞かせていたから、どんな野郎がいたか、ろくに見やしません」

ありそうもない事ですが、勘三郎らしい無頓着さでもあります。

これ以上には訊くべきこともありません。