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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

「百本目の灯心を引いて真っ暗にすると、何か怖いことがあるという趣向なんで」

「百も怪談をやっていると、夜が明けるよ、天道様のカンカン照るところへ、何が出られるんだ」

祐吉はすっかりお茶らかしております。

「そこをその、十にするんで」

「フーム」

「百物語という触れ込みで、行灯の代りに燭台を十だけ出して置いて、百目蝋燭を一本ずつ消して行く、九つ目が大変で」

「百物語の代りに十物語でも、お化けが出てくれるかい」

「日当次第のお化けなんで、灯なんか幾つだって構やしません」

「なるほどね」

「さんざん怪談を聞かされた挙句、たった一つ残った灯を消されると、女子供の騒ぎというものはありませんよ」

「そうだろうな」

「キャッキャッと齧り付きますよ」

「なるほどそいつは面白そうだ、早速やってみるとしようか」

祐吉がその気になれば、鶴の一声でした。

筆屋の「小法師甲斐」、――格式のある家の店から居間を打ち抜いて、三日目には百物語の催しが始められました。

家中の者十六人、それに町内の者が二十人ばかり、女が多くなるように集めたのは、与作の大味噌でした。

話は与作が真打で、町内の尤もらしいのが五六人、番頭の左太松と、倅の甲子太郎と、出入りの鳶の頭寅松と、小僧が二人――吉之助と宮次が、大切の道具方に廻りました。