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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁
幽霊を見て騒いだのは、女子供や近所の衆で、私どもは種を知っているから、笑いながら眺めていました。ヘエ、一人でも動けば知れたわけで――」
これでは、祐吉を疑いようはありません。
平次はガラッ八を一人残して、いったん小法師を立出でました。が、念のため常盤橋の猪之吉を訪ねて、番屋に抛り込んである、若旦那の甲子太郎に逢ってみる気になりました。
「あの晩、お国と一緒に、納戸へ入ったことは、誰が知っているんだ」
平次の問は率直で簡単でした。
「誰も知りゃしません。知らせたくもなかったんです」
甲子太郎は、道楽者のくせに、純情家らしい男でした。もう二十七八にもなるでしょうが、大家の坊っちゃんらしく、若々しいところがあって、妹のお小夜に似た品のよさと、勘当息子らしい捨鉢なところが、妙な不調和と魅力になっているのです。
「納戸へ入ったのはいつだえ」
「馬鹿な怪談の真っ最中でした。蝋燭は二本ぐらい点いていたでしょう」
「納戸を出たのは?」
「幽霊が宙乗りをしている時です、――あんまり騒ぎがひどいんで、ツイ出てみたんです」
「その間納戸から一度も出なかったんだね」
「手洗に一度出ましたよ」