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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

「薄々は存じております」

それは平次も聞き知っておりました。三代将軍家光公が、雑司ヶ谷鬼子母神のあたりで御鷹を放たれた時、どこからともなく飛んで来た一本の征矢が、危うく家光公の肩先をかすめ、三つ葉葵の定紋を打った陣笠の裏金に滑って、眼前三歩のところに落ちたという話。

それッと――立ちどころに手配しましたが、曲者の行方は更にわかりません。

後で調べてみると、鷹の羽を矧いだ箆深の真矢で、白磨き二寸あまりの矢尻には、松前の人々が使うという「トリカブト」の毒が塗ってあったということです。

「その曲者も召捕らぬうちに、上様には再度雑司ヶ谷の御鷹野を仰せ出された。御老中は申すに及ばず、お側の衆からもいろいろ諫言を申上げたが、上様日頃の御気象で、一旦仰せ出された上は金輪際変替えは遊ばされぬ。そこで御老中方から、朝倉石見守様へ直々のお頼みで、是が非でも御鷹野の当日までに、上様を遠矢にかけた曲者を探し出せとのお言葉だ、なんとか良い工夫はあるまいか」

一代の才子笹野新三郎も、思案に余って岡っ引風情の平次に縋り付いたのです。

「よくおっしゃって下さいました。御用聞冥利、この平次が手一杯にお引受け申しましょう。