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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

二

体よく敬遠するつもりでしょう、平次は紙袋を冠った猫の子のように尻ごみをしております。

「御尤も千万、だが、――平次殿に乗出して頂こうというわけではない。ほんの少しばかり、智恵を拝借すればよいのじゃ」

「ヘエ――」

「実は御親類筋の安倍丹之丞様から、平次殿のことを承って参ったが、この謎を解くものは、江戸広しといえどもまず平次殿の外にはあるまいと」(「傀儡名臣」参照)

「御冗談で――」

押の強そうな用人に捉まって、銭形平次も悉く降参してしまいました。

二

この勝負はとうとう石川孫三郎の勝でした。平次を口説き落すと、

「実はこれじゃ」

懐から取出したのは、小さく畳んで紙入に挟んだ小菊が一枚。畳の上にひろげて、平次の前へ押しやるのです。

「これは?」

「見られる通り、一枚の小菊の中ほどに、紅筆で書いた、得体の知れない仮名文字が二十五ある」

「ヘエ――」

差し覗くまでもありません。女の使う笹紅を、筆に含ませて書いた文字が二十五。平次が見てもなかなかの達筆ですが、不思議なことに、最初の一行が「あなかしこ」と読めるだけ、あとは、どう読んでも意味が通じません。

その全文を掲げると、