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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁
「と申すと」
「よくお屋敷方の内神様で、塀の一箇所に凹みを拵え、外から自由にお詣りの出来るようにしたのを見掛けますが――」
「いや、そんなのではない。塀は厳重な板塀で、忍び返しまで打ってある、容易に外から入れる場所ではない」
「すると――」
平次はもう一度謎の仮名文字に目を落しました。
「そんな事はありようはずはないが」
石川孫三郎の顔は硬張りました。何と言おうと、どう誤魔化そうと、この悪戯は、屋敷内に住んでいる者の仕業でなければなりません。
「ところで、この文句を読む見込みはどうしても、立ちませんかね」
と平次。
「残念ながら見込みはない。そっと写し取って、近所の手習の師匠にも見せたが、――もっとも浅井朝丸様は、これは学者や坊主は、読めまい、吉備真備の読んだ野馬台の詩のようなものだから、安倍仲麿の蜘蛛でも下がってくれなきゃと申される」
「なるほど、野馬台の詩みたいなものだ、――ところで御用人様、御屋敷に住んでいらっしゃる御人数は?」
「殿様は六十五におなり遊ばす、御病気で一年越しお床に就いたっきりだ。若殿時之助様は二十五でまだお一人、よく出来た方だがお弱い。奥方はお勇様とおっしゃって四十」