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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁
若殿時之助様も、御用人のお前様も」
「とんでもない」
石川孫三郎は大きく手を振ります。
「ところで御用人様」
ひどく改まった平次の顔を、石川孫三郎は不安らしく見上げました。
「この謎の仮名文字を読むと、決して幸せなことはございませんが、それでも読みたいとおっしゃるでしょうか」
「?」
「この文字は恐ろしい言葉でございます。これが読めると、御用人様一日も一刻も安い心がなくなるばかりでなく、お屋敷の皆様には恐ろしい疑いの雲がかかりますが、それでも――」
平次はもうこの謎を解いてしまった様子です。
「そう聞くと、私も迷うが、いずれにしても、そのままには相成るまい。それを読まずに焼いてしまったら、悪戯者はまた四枚目を用意するだろう。悪いものなら悪いもののように、書いた者を詮議して、後の祟りのないようにするのが、この石川孫三郎の勤めと申すものであろう」
「いかにも、御尤も、――では読み下します、御覧下さい」
「…………」
平次の指の先は、小菊の真ん中、五つずつ並べて五行に書いた、三行目の三番目――一番真ん中のわという字を指しました。
「御用人様、私の指の動くとおりに読んで下さい」