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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

医者が来る前に、呼び掛ける者、泣き叫ぶ者、水をかける者、背中を叩く者、滅茶滅茶な介抱をしましたが、お百合はもう息を吹き返しそうもありません。

町内の御用聞、佐吉が駆け付けたのは、それからまた一刻も経った後のことです。

一と通り様子を聴いて、お百合の死骸を見ると、

「すまねえが、お内儀に番所まで来て貰おうかえ」

錆のある声が、藤左衛門とその若い女房の玉江を縮み上がらせます。

「親分、――継しい仲には違いないが、この女は、そんな大それたことの出来る女じゃありませんよ」

藤左衛門は一応女房を庇護しました。

「いや、配偶の言うことなどは当てになるものじゃねえ」

佐吉は少し光沢のよくなった頭を頑固らしく振ります。

「御新造さんじゃありませんよ、親分さん」

下女のお篠です。二十一歳の純情をぶちまけて、自分達にはこの上もなく良かった、主人の妻を救う気になったのでしょう。

「お前なんかの口を出す場所じゃねえ、引っ込んでいるがいい」

「だって御新造さんは、上野の午刻の鐘が鳴るズーッと前から、ツイ今しがたまで、私と一緒にお勝手にいたんだもの」

「なんだと?――そいつが嘘だった日にゃ、手前も牢へ叩き込まれるよ」