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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

信州の山奥にいる時は、ずいぶん投げ罠も使いましたが、それはもう二十何年も昔のことで、江戸へ出て人間を害めることなどは、夢にも考えちゃいません」

「なるほど、そいつは放っておいちゃ気の毒だ」

平次はツイツイそんな事を言うのでした』

「有難い、それじゃ銭形の親分さん、乗出して下さいますか」

「待った、そんなに夢中になっちゃいけねえ。御用聞にも縄張がある、下谷竹町は佐吉の縄張だ、俺はあんなところまで乗出すわけには行かねえ」

「そう言わずに、親分」

作松は拝んでばかりはいませんでした。いきなり平次の手を引立てて、力ずくでも引っ張って行こうとするのです。

「冗談じゃねえ。そんなつまらねえ事をしたところで、親分はどうにもなるわけはねえ」

ガラッ八の八五郎はツイ立上がりました。

「親分さん、お願いだ。俺はどうなっても構わねえ。が、殺されたお嬢さんのお百合さんは、本当によく出来た方だ。あの敵を討たなくちゃ、この腹の虫が癒えねえ」

作松は、平次の手に取りすがったまま、ポロポロと泣くのです。

「よし、それほどに言うなら行ってみよう。が、下手人は並大抵の人間じゃあるめえ、どんな人間を縛ったところで、後で怨んじゃならねえ、判ったか」